ある雪の降る日私は運命の恋をする
朱鳥に解熱剤を打ってから、俺は医局で仕事を片付けていた。

もうすぐ14:00。

あと少しで、一段落するから、その時に朱鳥の様子を見に行こう。

そう思って、伸びをしてから、またデスクに向かう。

すると

「清水先輩!!」

「瀬川くん、どうしたの?」

「朱鳥ちゃんが、魘されているみたいで、来てください。」

「わかった。俺は、先に行くから、瀬川くんは解熱剤と冷えピタ持ってきてくれる?」

「はい、わかりました。」

瀬川くんは、そう言って小走りで駆けていく。

俺は、朱鳥の病室へ向かう。

病室に入ると、確かに朱鳥は魘されていた。

「…………ぅ……うぅ…ん!!………」

「朱鳥、朱鳥ー、大丈夫?」

肩を叩いて朱鳥を起こす。

「……楓摩………………」

朱鳥は、俺の顔を見た途端、ポロポロと泣き出した。

「…………楓摩っ…楓摩っ!!……ふぅまぁ………」

「どうしたの?泣いてたらわかんないよ?」

そう言って、朱鳥を抱っこして、子どもをあやす様に優しく声をかける。

「なんか、怖い夢みた……」

「どんな夢?」

「なんかの事故の夢…………怖かった……」

「事故……」

俺は、朱鳥が初めて目覚めた日に俺がみた夢を思い出した。

確か、あれも事故だったよな…………

「それでね、私、怖くなって……そしたら、楓摩が居たから…………」

「そーゆことね。大丈夫だよ。よしよし、怖かったね」

朱鳥を慰めていると、途中で瀬川くんが、解熱剤と冷えピタを持ってきてくれたが、俺たち様子を見て、頼んだ物を置いて、戻って行った。

朱鳥が一旦、落ち着いてから、ベッドに下ろす。

「朱鳥、もう1回熱計ってみてくれる?」

「ん……」

ピピピピピッ♪ピピピピピッ♪

体温計はすぐに鳴った。

37.8

「さっきより、だいぶ下がったね。これだったら、あとは冷えピタで頑張るか。」

朱鳥の、サラサラの前髪をよけて、冷えピタを貼る。

「ねぇ、楓摩、愛依ちゃんは?」

「え?愛依ちゃん?んー、ごめん、わかんないや。後で陽向に様子聞いておくよ。朱鳥も心配してたって伝えておく。」

「うん、ありがと。」

そう言って朱鳥は微笑んだ。
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