ある雪の降る日私は運命の恋をする
「おーい、陽向ーちょっと聞きたいことあるんだけどー」

「…………」

「陽向ー?」

朱鳥に言われた愛依ちゃんの様子を陽向に聞こうと思って、陽向のデスクまで来ると、陽向は珍しく難しい顔をしていた。

「おい、陽向」

ポン、と肩を叩く。

「うわっ、楓摩。どうしたんだよ、いきなり。」

「いきなりじゃないよ、さっきから声掛けてたでしょ?」

「あ、わりー。聞いてなかった。」

「どうしたの?そんな難しい顔して。」

「ちょっとな…………愛依の病状がさ…思ったよりも悪くてな。」

そう言って渡してきたのは、愛依ちゃんの検査結果だった。

「本当なら、今すぐにでも手術したいんだけどな、愛依がそれを拒んでてさ。……はぁ…………もう、どーすりゃいいんだよ。」

「そっか……。朱鳥がさ、愛依ちゃんと仲良くなったみたいで、愛依ちゃんの事、気にかけてたんだよ。朱鳥からも説得してくれるように、言っておくか?」

「おう、お願いするわ。」

そう言うと、陽向は、また難しい顔をして、検査結果やカルテを見返していた。

俺は、それを邪魔したらいけないと思い、自分のデスクに戻った。
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