ある雪の降る日私は運命の恋をする

愛依side

ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…

規則的な音が聞こえる。

重いまぶたをゆっくりと開ける。

見慣れた病室。

あたし…………生きてる。

手術、終わったのかな?

身体が痛い。

ナースコール押さなきゃ…

ナースコールを押すと、陽向先生は、すぐに来てくれた。

シャッとカーテンが開かれる。

「…愛依、おはよ。」

そう言って、陽向先生は涙を流して微笑んだ。

「よかった……本当によかった………………」

そう言って、ポロポロと大粒の涙をずっと流し続けている。

「…陽向………先生……………」

いつも、笑っていて凹んだ所すら見たこともないあの陽向先生が泣いている。

陽向先生は、ゴシゴシと服の袖で涙を拭いてからニコッと笑ってあたしの手を握った。

「愛依、よく、頑張ったな。偉い。」

「……手術…………終わった…の?」

「うん、終わった。終わってから、愛依は3日も寝てたんだよ?心配したじゃねーか。」

「そっか……ありがとう…………陽向…先生。」

途切れ途切れになってしまったが、ちゃんとお礼を言えた。

手術室の時の陽向先生、とってもカッコよかった。

でも、楓摩先生には、まだまだ及ばないな(笑)

「よかった。愛依、元気そうだね。俺も、朱鳥ちゃんも、楓摩も心配してたんだぞ?」

「アハッ…ありがと。」

「ううん、いいんだ。じゃあ、ちょっと、診察させてね。」

「うん」

陽向先生の診察してる時の顔。

この前までは、あんまり意識してなかったけど、意識してみると、真剣な眼差しでカッコイイ…かも?

「うん、大丈夫。じゃあ、傷口の痛み止めの点滴追加しておくね。」

そう言って、陽向先生は点滴を変えてくれた。

「おっけー。もう、遅いし寝なよ?愛依は今起きたかもしれないけど、まだ午前2時だからね?俺、ここにいるから、ゆっくり眠りな。」

「うん、ありがと。おやすみ。」

正直、まだ、眠くなかったが、あたしより陽向先生の疲れきったクマの出来た顔をみたら、これ以上迷惑をかけられないと思ったから、素直に目を閉じて眠ることにした。
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