ある雪の降る日私は運命の恋をする
目を覚ますと、大丈夫体が楽になっていた。

俺の腕には点滴が刺さっていて、額に冷えピタも貼ってあった。

きっと、陽向がやってくれたんだな。

ゆっくりとベッドから、起き上がり、辺りを見渡す。

時計は、夜の6時を指していた。

結構寝たな。

もう、大丈夫だと思うけど、どうしよ?

白衣も着たまんまだし、点滴をしたまま、病院の中を歩く訳にはいかないしな……

俺は、壁に掛かってあるナースコールを押して、陽向を呼ぶ事にした。

"あ、清水先生、起きました?"

「はい、お陰様でだいぶ楽になりました。それで、陽向先生を呼んでもらえますか?」

"はい、わかりました。"

それから数分して、陽向はすぐにやってきた。

「楓摩、大丈夫か?」

「うん、かなり楽になったよ。ありがとう。」

「ん。お前、本当に馬鹿だよな。朱鳥ちゃんの事もそうだし、それにどうしたんだよ、あの熱。ビビったじゃねーか。」

「ごめん。最近、ろくに寝てなくてさ……」

「まったく……自分の体調管理くらい、ちゃんとしろよ。まぁ、きっと熱も下がっただろうし、今、点滴外すな。」

そう言って、陽向は点滴を外してくれた。

「よし、いいよ。お前のぶんの仕事は終わらせといたから。お前は、家に帰って休んできな。」

「うん、助かるよ。ありがとう。じゃあ、1回朱鳥の様子見てから帰るね。」

「おう、気を付けてな。」

俺は、処置室から出ると、そのまま朱鳥の病室へと向った。

コンコンッ

ガラッ

「朱鳥、入るよー」

ピッピッピッピッ……

朱鳥は、未だに眠り続けている。

俺は、朱鳥のベッドの横にある椅子に腰をかける。

「朱鳥、今日は本当にごめんね。俺、朱鳥が俺を頼ってくれないのに陽向の事を頼ろうとしてるから、嫉妬して、朱鳥に当たっちゃった。大人気ないよね……。ごめん。」

眠ったまんまの朱鳥の髪の毛を撫でる。

「朱鳥、ごめんね。息、苦しかったね……辛かったね……ごめんね……。助けてやれなくて、ごめんね……」

朱鳥の手を握る。

俺の目からは涙が流れていた。

後悔の涙。

あんな、くだらない事で喧嘩なんて、しなければ……

俺が、嫉妬なんてしなければ……

朱鳥は、辛い思いをしなくて済んだよね……

本当にごめんね……
< 212 / 505 >

この作品をシェア

pagetop