ある雪の降る日私は運命の恋をする
久しぶりに、自分から目が覚めた。

昨日、楓摩に持ってきてもらった湯たんぽはぬるくなっている。

でも、そのお陰か昨日よりは、お腹は痛くなくなっていた。

コンコンッ

ガラッ

「おはよー、朱鳥。」

「おはよ、楓摩」

「体調はどう?お腹、大丈夫?」

「うん。昨日より、全然いい。」

「そっか、よかった。じゃあ、診察するね。服、捲って」

久しぶりに楓摩の真剣な顔を見たかもしれない。

いつもとは違う、医者の目。

「うん、いいよ。じゃあ、いろいろ話そっか。」

「うん」

「まず、朱鳥ごめん。俺、この前嫉妬しちゃって、朱鳥に酷いこと言っちゃった……。過呼吸、苦しかったよね…ごめんね。」

私は、黙って楓摩の話を聞くことにした。

「それで、朱鳥が意識を無くしてから、朱鳥は約一週間と半分寝てたんだ。何度か、愛依ちゃんもお見舞いに来てたよ。それで、聞きたい事があるんだけど、朱鳥、愛依ちゃんと何かあった?」

「…………」

「話しにくい事ならいいんだ。それに、愛依ちゃんの事なら陽向の方が話しやすいんだよね。」

「ごめんね、楓摩。ちゃんと、話が終わったら言うから。」

「うん、わかった。じゃあ、待ってるね。」

「ありがとう。」

今日、陽向先生に相談して、それで、愛依ちゃんに言いに行こう。

愛依ちゃんが、楓摩に告白する前に。

愛依ちゃんが、傷つく前に。

でも、酷いよね。

自分の好きな人の彼女が友達だったら……

そう考えると悲しくなった。
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