ある雪の降る日私は運命の恋をする
「今日、俺、朱鳥ちゃんから相談受けてたんだ。」

「え?」

「朱鳥ちゃんが言うには、朱鳥ちゃんの友達が楓摩の事を好いていて、それで、どうしようか悩んでいるって。」

「え……それって…………」

それを言われて、俺も全てがわかった。

つまりは……

「愛依は、楓摩の事が好きって事だな…それで、愛依は、朱鳥ちゃんとお前が付き合ってる事を知らなかった。」

「………………」

「そして、今日、その事実を知らされて、愛依と朱鳥ちゃんは喧嘩をしてしまった……って事。」

愛依ちゃんが、俺にそんな気持ちを抱いてくれているなんて知らなかった。

けど、俺は一つ他に知っている事がある。

それは

陽向が愛依ちゃんの事を好きだって事。

陽向から直接聞いた訳ではないけど、態度を見てたらわかる。

つまりは、三角関係って事。

陽向からしてみれば、俺はライバルになってしまうのかもしれない。

「………愛依は、お前の事が好きだったんだな。…………知らなかった。」

「………………」

俺は、陽向になんて声をかけていいか、わからず黙り込む。

やっぱり、俺……

「…あーあ。残念だなー。」

「え?」

返ってきたのは予想外の言葉。

「俺、愛依の事、好きだったんだ。」

「…うん……」

「でも、愛依の好きな人がお前なら、俺、適わねぇなって。」

「え……」

「愛依も、そうだけど、今回は、俺も失恋しちゃったな……」

陽向は、驚く程に清々しい笑顔を浮かべていた。

ただ、その目には僅かに寂しさが含まれているように見えた。

「…ごめん。」

「え?なんだよ、謝るなよ!!大丈夫だから。ていうか、謝られた方が変な気分になるし。」

「そっか……」

「そうだよ!!俺は、これでいいんだ!!たとえ、失恋したとしても、俺はまだ諦めない。愛依に、振り向いて貰えるまで頑張るから!!」

「ありがと。」

いつも、思う。

本当に陽向は、いい奴だな…

「ほら、じゃあ、暗い顔してねーで、朱鳥ちゃんと愛依を仲直りさせに行くぞ!!」

「うん、そうだね。」

そう言って、俺達は立ち上がった。
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