ある雪の降る日私は運命の恋をする
それからあたしは、しばらく泣き続けた。

その間、陽向先生は、黙ってずっと、背中を摩ってくれていた。

「愛依、落ち着いた?」

「……うん…ありがと。スッキリした。」

「おう、よかった。じゃあ、これから、朱鳥ちゃんの病室に仲直りしに行こ?」

「え……」

嫌な気持は少しだけ解決したが、まだ朱鳥ちゃんと会って話すのは気まずい……

「まだ、気まずい?」

「…うん」

「んー、でも、俺、いつまでも2人が仲良くないの嫌だしな~。それに、愛依、もう少ししたら、退院だよ?そしたら、もう朱鳥ちゃんにも会えなくなっちゃうよ?仲直りしないままお別れするの?」

「………………」

そっか。

あたし、もうすぐ退院できるんだ。

ということは、もう、みんなとも、もちろん陽向先生や、朱鳥ちゃん、楓摩先生にも会えなくなっちゃうんだ。

「だからさ、今のうちに仲直りしたら?」

「……うん。」

「よし!じゃあ、行くぞ!!」

そう言って、陽向先生は、私の手を引いた。

陽向先生の言う通り、このまま仲直りしないままお別れなんて、嫌だから、仲直りするんだ。

それに、今回は、あたしが諦めたらいいんだもんね。

そうだよ、楓摩先生には、朱鳥ちゃんっていう、あたしより断然可愛い彼女さんがいるんだもん。

しょうがないさ。

少しだけ寂しい気持ちもあったが、あたしは足を進めた。
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