ある雪の降る日私は運命の恋をする
愛依ちゃんと陽向先生が病室に来てから20分。

愛依ちゃんは、自分の病室に、陽向先生はお仕事をしに病室から出ていった。

残ったのは、私と楓摩だけ。

私は、前から少し気になっていたことを楓摩に聞いてみることにした。

「ねぇ、楓摩」

「ん?なに?」

「愛依ちゃんって、もう退院しちゃうの?」

「愛依ちゃん?うーん、詳しくは陽向に聞かないとわかんないけど、多分もうすぐ退院出来るんじゃないかな?」

「……そっか。」

退院…か…………

私は、いつになったら退院出来るんだろう?

愛依ちゃんの病気は、手術をすれば治るものだけど、私は、そうもいかないもんね……

「私も……早く、退院したいな…」

「…うん、そうだな。早く治して退院したいな。」

「…………楓摩」

「ん?」

「私、いつになったら退院できる?」

そう言うと、楓摩は少しだけ表情を曇らせた。

「……いつだろうな…………。早くても次の治療が終わった後…遅かったら、まだ当分先かな……」

「そっか。」

当分先……

その言葉が胸にズッシリとのしかかる。

すると

「……大丈夫。きっと、早く治るから。」

そう言って楓摩は、私の事をギュッと抱きしめてくれた。

楓摩から、温もりが伝わってくる。

それは、いつも、私の中にある不安を取り除いてくれた。
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