ある雪の降る日私は運命の恋をする

"いつになったら退院できる?"

朱鳥にされた質問。

あの時俺は正直戸惑った。

"きっと、早く治るから。"

そう答えたものの、まだ時間がかかるのは覚悟していた。

この前から、治療は何回か行っているが、あまり病状は良くなっていない。

次の治療で、少し強めの薬を使うことも決まっていた。

それに、次の治療はもうすぐ。

3日後から始めようと思っていた。

3日後からは、無菌室で治療を行う。

朱鳥にとっては辛い事だろう。

でも、そうしないと、もっと病状は悪くなっていくから。

最悪の事態になる前に、少し辛くても我慢してもらわないと。

そう、最悪の事態…………

朱鳥は今、死の一歩手前を歩いている。

もし、ここで治療を辞めたら、死は確実だろう。

そのくらい、病状は重い。

絶対に治る……いや、治す。

そう、心に決めているものの、やはり、心のどこかでは弱気になってしまう部分もある。

もう、治らないのではないか……

そう、考えてしまった事もある。

最低だな…俺…………

いつも、こういうことを、治療の前には考えてしまう。

朱鳥の前では明るく振舞っていても、本当はとても憂鬱になる。

一番辛いのは朱鳥なのに、俺が泣きたくなる。

そんな事が多々あった。
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