ある雪の降る日私は運命の恋をする
看護師さんに聞いたところ、白衣を脱いで消毒をしてから髪の毛などが入らないように要注意してからなら、ほんの少しだけならいいと言ってくれた。

その他にも色々な注意を言われ、それを踏まえた上で、そこまで朱鳥ちゃん言うなら可哀想だから特別に、と許可してくれた。

俺は、すぐに消毒をして、いろいろ用意をしてから朱鳥の病室に向かった。

ガラッ

「朱鳥、ちょっとだけなら、ギュッできるって。」

「……ふ…………ま…」

そう言って近付くと、朱鳥は泣きながら抱きついてきた。

「大丈夫だよ。今は辛いけど、頑張ろうね。今、頑張ったら後できっといい事があるから。」

「…楓摩……楓摩………」

「よしよし…」

ギュッと抱き合っていると、朱鳥の熱が伝わってきた。

ものすごく熱い。

それに、息遣いも荒い。

だけど、朱鳥は安心したように、表情を緩めて俺に体重をかけた。

そのまま、ギューっと抱きしめていると、しばらくして、スースーという規則的な寝息が聞こえてきた。

朱鳥が寝たことを確認し、ベッドに寝かせる。

それから、そっとベッドから離れた。

「朱鳥ちゃん、早く良くなるといいな…」

「うん…早く治って、また元気になって欲しいな……」

朱鳥の手をギュッと握る。

朱鳥の小さな手は汗で湿っていた。
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