ある雪の降る日私は運命の恋をする
陽向先生が病室を出ていってから30分。

もうそろそろ、楓摩来ても良いんだけどな…………

なんか、さっきよりも具合悪くなってる気がするし……

今日は、あんまり出ていなかった抗がん剤の副作用が出てきたのか、軽く酔ったような気分になる。

吐き気はあんまりないけど、今日はその変わりお腹がキリキリと痛んで冷や汗が出てくる。

夜ご飯も出されたけど、食べる気になれない……

お腹が痛すぎて何回かトイレに行ったけど、全部下痢の状態。

仕方なく布団の中でうずくまって痛みが引くのを待っていた。

コンコンッ

ガラッ

「朱鳥ー、って…あれ?寝てる?」

布団に潜っていたら、楓摩に寝ていると勘違いされたので、布団から顔を出す。

「あ、起きてる。朱鳥、大丈夫?顔、真っ青だよ?どうした?」

「…楓摩…………お腹痛い……」

「ありゃりゃ、今度は腹痛か……トイレ行った?」

コクン

「もしかして、下痢だった?」

コクン

「そっか……また副作用だね…。ちょっと待ってて、薬と湯たんぽ持ってくるね。」

コクン

そう言って楓摩は病室を出た。

楓摩が出ていった後もお腹はさらに痛くなるばかり……

うぅ………辛いよ…………

ガラッ

「朱鳥ー、湯たんぽ持ってきたよー。これ、お腹に当ててみて、少しは楽になるから。それと、この薬飲んで多分楽になるから。」

コクン

そう頷くと楓摩は、ベッドを起こして私に水と薬を渡した。

「ゆっくりでいいから飲んでね。」

ゆっくり薬を飲む。

でも、飲み薬は効き目が遅いから飲んだ直後は、全然変わらない。

「飲めた?」

コクン

「うん。偉いね。あ、そういえば、ご飯食べてないけど食欲ない?」

コクン

「そっか。じゃあ、今日は下げよっか。無理して食べて吐くよりはいいからね。」

そう言うと、楓摩は私の手を握った。

「……どうしたの?…楓摩…………急に……」

「えっ?…あっ……無意識だった///ごめん。」

「ふふっ。いいの。手、繋いでて?」

「うん。そうする。」

そう言って楓摩はギュッとさっきよりも強く握った。

私も、少しだけど握り返す。

すると、楓摩はとても嬉しそうな表情をして、笑ってくれた。
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