ある雪の降る日私は運命の恋をする

朱鳥side4

「……すか、朱鳥!!」

「ん…………」

重い瞼を開けると、そこにはビニール越しの心配そうな楓摩の顔があった。

「…やっと起きた。良かった……調子はどう?」

「……え?調子?…んー、普通…かな?それより、どうしたの?楓摩、クマ凄いけど……」

そう言うと、楓摩はエヘヘっと笑った。

「朱鳥が起きてくれないから、心配して寝れなかったの。朱鳥、この前から丸三日も眠ったままだったんだから。」

「……そんなに?」

「うん。…でも、すっかり熱は下がったみたいだし、その様子だとインフルももう、ほぼ大丈夫だね。」

楓摩の色々な話に頭がついていかない。

えっ?

私、3日も寝てたの?

ていうか、この前っていつの事?

それに、インフル?

え?

私、インフルエンザなの?

「アハハ、何が起こってるのかわかっていないって顔だね。」

コクン

「じゃあ、説明するけど、三日前に朱鳥は高熱を出したんだ。今日で治療も終わりっていう時に、凄く具合悪そうにしててさ、意識もかなり朦朧としていたと思う。ここまではOK?」

「……うん。」

「だから、朱鳥はこの前の事覚えてないんだと思う。それで三日前の夜中に1回眠ってから朱鳥は丸三日眠ってた。…それで、俺が変だと思って検査したらインフルエンザだったんだ。」

「…………へぇ…」

「ハハッ、なんだか他人事みたいだね(笑)まあ、元気なら何よりだよ。」

そう言って楓摩は、手を握ってくれた。

「あ、そうだ。三日前の朱鳥には言ったけど、覚えてないっぽいから言っておくけど、朱鳥、明日にはこの病室出られるからね。」

この病室から……出られる?

え?

この無菌室から?

自分でも、顔がパアッと明るくなったのがわかる。

「…いいの?」

「うん。もちろん。もう、しばらく辛いのは休憩。結果が良ければ一時帰宅もしようね。」

「うん!!…っ!!やったぁ!!ここから出られるって事は楓摩とも、いっぱいギューッてできる!!ねっ!?」

「うん、そうだね。いっぱいギューッてしような。」

さっきまで、混乱していた頭が途端に冴えて、ワクワクとした気持ちになる。

これからは、我慢しないで楓摩と触れ合えるんだ!!

この一週間(?)は、手を繋いで貰うことしか出来なかったから。

それに、行動も自由って事でしょ?

次々と嬉しい事や、やりたい事が頭に浮かんできて、楽しい気分になる。

「嬉しそうで良かった。じゃあ、俺はちょっと医局行ってくるね。あ、あと、朱鳥は今起きたけど、もう夜だからお静かにね?」

「わかった!」

「うん。じゃあ、また後でね!」

そう言って楓摩は、笑顔で病室から出ていった。
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