ある雪の降る日私は運命の恋をする
楓摩に点滴を打ってもらって、またベッドに寝っ転がる。

「朱鳥、少し寝な?起きてるのも辛いしょ?夕方になったらまた起こしてあげるからさ。」

楓摩は、そう言うけど、正直寝れる気がしない。

「…朱鳥?」

しばらく、ボーッ天井を眺めていると楓摩に声をかけられた。

「朱鳥、寝ないの?」

「……寝れない…」

「…そっか。でも、起きてるの辛いんじゃない?」

コクン

楓摩の言う通り、起きてるのは体が辛いから嫌だ。

だからと言って、眠れないし、それに眠った後に夢を見るのも怖い。

「朱鳥、俺も傍にいるから目、閉じてな?そのうち眠れるから。怖くなったらすぐに俺に言っていいからさ。」

楓摩が優しそうに言うから、それを信じて楓摩の手をギュッの握ってから目を閉じた。

目を閉じると、楓摩は私の肩の所まで布団をかけてくれて、優しく頭を撫でてくれた。

だんだん安心してきて、私も眠たくなってきた。

でも、夢の中に入りかけた時、おじさんの顔が頭をよぎった。

その瞬間、目がパッチリと覚めて、一気に怖くなる。

涙目になって、体が震える。

「朱鳥?」

楓摩は、少し驚いたような顔をしてから、すぐに心配そうな顔になった。

「朱鳥、大丈夫?怖くないよ。大丈夫。落ち着いて。」

そう言って、私を抱きしめてくれる楓摩。

それから、少ししてだいぶ落ち着いた私は、楓摩が抱きしめてくれている腕の中でそのまま眠りについてしまった。
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