ある雪の降る日私は運命の恋をする
朱鳥を一旦ベッドに寝かせて、手を繋いで寝るように言う。

朱鳥は、以外にも素直に目を閉じて眠ってくれた。

俺も、学会に行かないと行けないのでそっと手を離して病室を出ようとすると…

ギュッと白衣の袖を引っ張られた。

朱鳥の方を見ると、朱鳥はウルウルと涙目になって、俺の事を見ていた。

「…ぃかないで…………」

もう1度朱鳥の元へ寄って、朱鳥の頭を撫でる。

「朱鳥、ごめんね。俺、今日学会があって、もう行かないといけないんだ。夕方まで戻ってこれないからごめんね。」

そう言うと、朱鳥はより一層目に涙を貯めて、白衣の袖を強く握った。

「……行っちゃ…やだ………抱っこ…して…………?」

こんなに、可愛い顔されたら困るよ……

俺は、朱鳥に押し負けて朱鳥を抱っこすることにした。

抱っこして、よしよしと頭を撫でながらゆらゆらと眠気を誘うように揺らす。

朱鳥は、安心したような顔をしてゆっくり目を閉じた。

それから、ギリギリの時間まで俺は朱鳥の病室に居た。
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