ある雪の降る日私は運命の恋をする

夕方になって、楓摩が帰ってきた。

楓摩は、ものすごく疲れたような顔をして、私のベッドに突っ伏した。

「朱鳥ー、疲れたー。」

「うふふ、お疲れ様。」

久しぶりに甘えてくれる楓摩が嬉しくて、私は楓摩の頭を撫でる。

すると、楓摩はムクっと起き上がった。

「あ、そーだ。朱鳥、まだ熱あったんだって？大丈夫？」

「うん。大丈夫。熱って言っても37度代だから元気だよ。」

「ん。それならよかった。……あと…朱鳥、一時帰宅する？」

「っ!!するっ!!絶対にするっ!!」

「ん。わかった。じゃあ、手続き済ませとくな。」

そう言って、楓摩は私の頭をワシャワシャと撫でた。

「あ、でも、一時帰宅する前にひとつだけ。」

「ん？」

「この前の結果みたいから骨髄検査、頑張れる？」

「え…………」

そうだ。

忘れてた。

いつも、抗がん剤治療が終わったら、やってたじゃん。

嫌だなぁ……

「露骨に嫌そうな顔しないでよ(笑)朱鳥も早く家に帰りたいでしょ？だったら、早めに検査しちゃお？明日とか？」

「明日…………?」

「うん。そしたら、帰宅も明後日の夕方には出来るんじゃないかな。」

「………………」

早く帰りたいのは山々だけど、検査は嫌だ。

だって、ものすごく痛いし、怖いんだもん。

「朱鳥、すぐ終わらせてあげるから頑張れない？明日、ちょっとだけ。痛いのは、ほんの何秒かだけだからさ。それだけ頑張ったら１週間、家に帰れるから。それに、なんともなければ、今度こそ学校にも行かせてあげる。どう？頑張れない？」

「…………頑張る…」

今回は検査が嫌な気持ちよりも家に帰りたい気持ちの方が勝ってしまった。

…嫌だなぁ…………