ある雪の降る日私は運命の恋をする
「自分が嫌い。

大人が嫌い。

社会が嫌い。

世界が嫌い。

世の中が嫌い。

何もかもが嫌い。

ホントは大人をみると、それだけで警戒しちゃって……ほんとは大人ってだけで怖い。

また、理不尽な理由で怒鳴られて、殴られて、蹴られて、ご飯だってロクにもらえずに、ただただ暴力を振るわれ続ける毎日になるじゃないかって……

でも、楓摩だけは…大丈夫だった。

なんか、なんでかはわからないけど安心した……。

はじめて、好きって言ってくれた。

はじめて……

心から好きって思えた。」

話し終えると私は涙を零し、泣いていた。


「うんうん。そっか……よく、1人で我慢してたね。偉いな、朱鳥は。」

そう言うと、ギュッと抱きしめてくれた。

「よく、よく頑張ったね……これからは、俺がいるからな。俺が守るから。だから、大丈夫。…大丈夫だよ」

子供を諭すような優しい口調で、ただずっと、大丈夫、大丈夫と言ってくれた。

とても安心する。

それだけで、私の心に深く刺さっていた冷たい氷が温かく溶けていくようだった。
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