ある雪の降る日私は運命の恋をする
碧流くんのお陰もあってか、2時間目の最初以来、私は、何か言われる事も無く平和に4時間目まで過ごせた。

4時間目が終わって、帰りの準備をする。

みんなは、昼休みだからそれぞれお弁当を出して食べたり食堂に行ったりしてるけど、私だけは、家に帰る。

帰る用意をしていると、碧流くんが不思議そうに声をかけてきた。

「お前、帰るの?」

「うん。担当のお医者さんに言われてたから。」

「ふぅん。清水先生…だっけ?あの人、意外と慎重なんだな。お前だって、もっと学校居たいんじゃないのか?」

楓摩が慎重だなんて初めて聞いた。

どっちかと言うと慎重…っていう感じではないけど……

「楓摩は、優しいからだよ。全部、私の体の事を考えて言ってくれてるから。私、入院中ずっと寝てばっかりだったから、体力も全然無くて、きっと5時間目まで居たら私が疲れちゃうのを、わかってくれてるんだと思う。」

「そっか。ま、気をつけて帰れよ。また、明日も来るんだろ?」

「うん。体調が良かったらね。」

「ん。わかった。じゃ、また明日な。」

そう言って、碧流くんは、手を振ってくれた。

私も手を振り返して、教室を出る。

その時はまだ、私は、これが明日 大変な事になるなんて考えてもいなかった。
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