ある雪の降る日私は運命の恋をする

学校2

家に帰って、制服を着替えてから、今日は寝室のベッドに寝っ転がる。

「ふぅ……」

学校に居る時は感じなかった疲れが、家に帰った途端にドッと出てくる。

携帯を出して、楓摩に帰ってきた事を連絡してから、私は布団に入り目をつぶった。

でも、なぜか今日は上手く寝付けず、しばらく布団のなかでゴロゴロとしていた。

やっとウトウトし始めたと思った時、携帯が鳴った。

楓摩からの返信かな、と思い軽い気持ちで画面を開いた。

すると、そこには楓摩からのメッセージではなく、私が登録していないアドレスからのメッセージがあった。

恐る恐るそれを開くと、思いもよらない事が起きていた。

そこには、2枚の写真があった。

1枚は昨日、楓摩に送ってもらった時の私と楓摩の写真。

もう1枚は、今日、碧流くんと帰りに手を振ってあいさつした時の写真。

そして、

"男たらし"

"キモイ"

"ウザ"

"死ね"

の文字。

あぁ、またこれか。

私は、見ているうちに、なんだか嫌になってきて、途中で携帯をしまった。

今の事を忘れるように、ギュッと目を瞑ってうずくまる。

でも、それは忘れるどころか、より鮮明になって頭に浮かんできた。

体が小さく震えているのがわかる。

忘れよう。

忘れよう。

そう強く思う度に、鮮明になってくる文字。

いつの間にか過呼吸になっていて、呼吸が苦しい。

「ヒック……ハァッ…ハァッ…」

いつもなら、なんとか自分で落ち着けるのに、今日はできない。

なんとかしなきゃ、そう思い必死の願いで楓摩に電話をかける。

プルルルルル♪プルルルルル♪

"はい。清水です。"

「ハァッ…ハァッ……ふ…………ま…」

"朱鳥!?大丈夫?どうしたの?"

「ヒック……ハァッ…い……き…が…………ハァッ…ハァッ……で…きない…ハァッ」

"過呼吸?落ち着いて。大丈夫だから。ゆっくり深呼吸だよ。今日、陽向休みだから、今そっちに向かわせるね。大丈夫だからね。"

私は、楓摩に言われた通り、ゆっくり深呼吸する事に必死になった。

でも、しようと思うほど焦ってしまって上手くできない。

酸欠で頭が痛くなってきた…

その時、玄関の扉がノックされる音が聞こえた。
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