ある雪の降る日私は運命の恋をする
「朱鳥ちゃーん、入るよー?」

陽向先生の声。

陽向先生は、私を探しいてるみたい。

でも、寝室のドアは閉めちゃったから、声も届かないだろうし…

そう考えているうちにも呼吸は苦しくなる。

早く……見つけて…

その時

ガチャ

「朱鳥ちゃん、居る?…って、大丈夫!?落ち着いてね。ゆっくり呼吸してみて。」

陽向先生……

陽向先生は、私を落ち着かせるように、背中をさすって、深呼吸を促してくれる。

「大丈夫だからね。焦らなくていいよ。」

私の顔は、もう涙でグショグショだった。

なんとか、時間をかけて、呼吸を整える。

「ハァッ…ハァッ…………」

「大丈夫。大丈夫。」

10分程して、やっと、いつも通りの呼吸に戻った。

陽向先生は、私をベッドにきちんと寝かせ直して、布団を掛けてくれた。

「朱鳥ちゃん、大丈夫?」

コクン

「俺、ここに居るから、一旦寝な?今のでそうとう疲れちゃっただろうし、眠いしょ?」

コクン

「うん、じゃあ、俺は楓摩が帰ってくるまでここにいるから。安心してな?」

コクン

陽向先生に促されて、重たい瞼を閉じる。

ウトウトとしていた時、また携帯が鳴った。

途端に、一気に目が覚めて、また小刻みに震えてしまう。

「朱鳥ちゃん?どうした?なんか、怖い事あった?」

涙が頬を伝う。

「どうしたの?大丈夫?泣いてたら、また過呼吸になっちゃうから、落ち着こう?」

コクン

そう頷いたはいいものの、やっぱり、まだ涙が出る。

それでも、陽向先生は私が落ち着くまで、そっと声をかけ続けてくれた。
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