ある雪の降る日私は運命の恋をする
「大丈夫?無理して喋らなくても大丈夫だよ。
あっ俺、自己紹介忘れてたね。俺、清水 楓摩(しみず ふうま)きみの主治医です。俺の事は楓摩とか、楓摩先生?まぁどっちでもいいや!よろしくね!」

ニコッと笑いかけてくる先生は目がクリっとしていて、顔立ちもよく、いわゆるイケメンだった。

「え、えっと…ふ、楓摩先生?よ、よろしく…お願いします。」

「ははっ、そんなに堅くなくて大丈夫だよ!そうだ、君の名前聞いてなかったね、名前聞いてもいい?」

そういえばまだ言ってなかった!

「わ、私は…前苑 朱鳥(まえぞの あすか)です。」

「朱鳥……?あっ、いや……えっと、朱鳥ちゃんでいいかな?」

「はい……?どうかしました?」

「ううん、なんでもない。ごめんね!俺、朱鳥ちゃんが目覚めてほっとしたよ。」

「え?」

疑問に思ったのを汲み取ったのか、先生は説明をしようと、口を開く。

「えっと……今は1月、って言えばわかるかな?」

「え、それって……」

倒れたのは……多分12月の最後の週だった。

「うん、朱鳥ちゃんは運び込まれてから1週間近く眠ってたって事。」

「わ、私そんなに眠ってたんですか…?」

「うん。だから、もう目覚めないかと思ったよ。でも、朱鳥ちゃんの目が覚めてホッとしたよ!よかった~」

そういって楓摩先生はクシャっと笑った。

……かわいい。

さっきからイケメンとは思っていたけど、この笑顔は反則だよ~!!

「ん?朱鳥ちゃん、どうかした?もしかして、具合い悪い!?」

「あっ、え、いや、そうじゃなくて……えっと…なんでもないです!」

思わず見とれてしまっていた。

「そう?なら、よかった!今日は、もう、疲れたでしょ?今日はゆっくり寝るといいよ。」

「はい……」

寝たいのは山々だが、また、目が覚めなかったら……と考えると怖くて眠りたくない…

「朱鳥ちゃん?もしかして、眠るのが怖い?」

まるで、考えていることを読まれたような発言に少しビックリする。

「……はい。少し…」

「そっか、怖いよね。でも、大丈夫だよ!俺、朱鳥ちゃんが寝るまでここにいるから!だから、安心して眠りな?」

そう言ってニコッと笑うとトントンとリズムよく、お腹を叩いてくれる。

「おやすみ」

疲れていたのもあるが、リズムが気持ちよくて、私は眠ってしまった。
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