ある雪の降る日私は運命の恋をする
コンコンッ

「しつれーしまーす。」

「あら?瀬川くんじゃない。どうしたの?なにかあった?」

保健室に入ると、保健室には保健の先生だけしか居なかった。

ベッドのカーテンも閉まっていない。

「先生、さっき、前苑、来ませんでした?」

「え?朱鳥ちゃん?来てないわよ?楓摩から、体調が悪くなりそうだから様子は見ておくように言われてたけど……」

「………………」

「もしかして、なにかあった?」

「……いや。なんでもないっす。じゃあ、しつれーしました。」

おかしい。

確かに、前苑は教室を出ていったはずだ。

なのに、保健室に居ないなんて……

俺は焦り気味に前苑を探した。

屋上や図書館、色々な場所を走ったけど見つからない。

次の授業は、もう始まっているけど、そんなの関係なく探した。

もし、どこかで倒れていたら……

そう思うと、余計に焦った。

学校内のほぼ全てを探し、残すは4階の空き教室。

まさか……

とは思ったが、一応行ってみることにした。

でも、その まさか が当たった。

俺が、空き教室をひとつひとつ確認していくと、一番最後の場所から微かに音が聞こえた。

もしかして…前苑?

そう思いドアを開ける。

俺の予想は当たった。

ドアを開けてすぐの所に前苑は倒れていた。

必死に何かを喋っている。

よく、聞いてみると、「楓摩……楓摩……」

と、清水先生の名前を呼んでいた。

「おい、前苑。大丈夫か?おい??」

前苑は、俺が呼んでも揺すっても目を覚まさない。

やばいな…気を失ってる…………

俺は、前苑を抱きかかえて保健室に走った。

前苑から、熱い熱が伝わってくる。

バンッ

俺は叩きつけるように保健室のドアを開けた。
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