ある雪の降る日私は運命の恋をする
ガラッ

「希咲っ、朱鳥の様子は?」

「楓摩、来てくれたのね。朱鳥ちゃんなら、そこのベッドに寝かせてるわ。」

ベッドのカーテンを開けて、朱鳥の元へ駆け寄る。

「熱は?」

「熱は、39.3。かなりの高熱ね…」

「そうだな……」

朱鳥は、やはり意識がないようで、俺が呼びかけても目を覚まさなかった。

それから軽い診察をしていると、保健室のドアが開いた。

「先生ー、前苑は?って、兄貴。来てくれたんだ。」

「おう、連絡ありがとな。」

「ん。別に俺は何もしてないけどな」

ベッドのカーテンは閉めていたから、顔はわからないけど、きっと瀬川兄弟だろう。

本当、2人とも仲がいいよな。

その後すぐに診察も終わり、カーテンを開ける。

「あっ、清水先生。」

「こんにちは、瀬川くん。今日は、ありがとね。瀬川くんが連絡してくれたから俺たちもすぐに駆けつけられた。本当にありがとう」

そう言うと、瀬川くん(弟)は、とても嬉しそうな顔をした。

「いえいえ!!全然ですっ!!やっぱ、兄貴と違って清水先生はカッコイイな!!」

「ちょっ、ひっどー!」

「別に酷くねーし。」

「まあまあ、2人とも。喧嘩は一旦止め。ほら、瀬川くん(兄)は朱鳥のこと運ぶの手伝って?」

「はいっ」

俺が朱鳥を抱っこして、瀬川くんには朱鳥の荷物を持ってもらった。

「ありがとう、希咲。これからも、よろしくな。」

「うん。早く、朱鳥ちゃんも元気になって、学校来るの待ってるわ」

「あぁ。じゃ、お世話になりました。」

希咲に挨拶をしてから、朱鳥を車に運ぶ。

車に着いて、あらかじめベッドのように倒しておいたイスに朱鳥を寝かせる。

それから、朱鳥に点滴を刺して、冷えピタを貼ったり、保冷剤で体を冷やしたりする。

「清水先輩、俺、運転しますよ。清水先輩は、朱鳥ちゃんの傍にいてあげてください。」

「うん。ありがとう。じゃあ、よろしくね。」

「はい」
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