ある雪の降る日私は運命の恋をする
「朱鳥、おはよう。大丈夫?倒れたんだって?」

コクン

薄暗い周りをゆっくりと見渡すとどうやら、ここは病院のようだ。

もう、戻ってきちゃった…

戻りたくなかったな……

そう思っていると、楓摩が頭を撫でてくれた。

「朱鳥、ごめん。病院、来たくなかったよね。でも、熱も高いし、今日はもう夜遅いから、今日だけ入院してくれないかな?」

嫌だ……

でも、それが楓摩を困らせることはわかっている。

だけど、私の首は自然と横に振っていた。

「嫌だ?」

コクン

「うーん……。でも、家だと点滴も出来ないし、何かあった時に対応できなかったら困るしょ?だから、お願い。」

楓摩の困った顔。

私の行動が楓摩を困らせてる。

でも、でも……

帰りたいんだもん…………

私の目から涙が零れるのがわかる。

楓摩の顔が、もっと困った表情になる。

「……ふ…ま……………グスッ…私……帰りたい………けど…ふ……まが困るなら…………我慢…する……」

「朱鳥……」

楓摩は、少し悲しそうな顔をしてから、私のことをギュッと抱きしめてくれた。

「朱鳥、ありがとう。早く良くなって、家に帰ろうな。」

ギュッと抱きしめながら楓摩は、私を寝かしつけるようにトントンとしてくれた。

それから、少しして眠くなってきた。

楓摩は、私をベッドに寝かせてからお布団を掛けてくれた。

楓摩は、私が寝たと思ったのか、一気に暗い表情になって、涙を流し始めた。

暗い部屋の中でもよくわかるほど、たくさん涙を流している。

どうして、泣いてるの?

そう、聞きたかったけど、今は聞かないでおくことにした。

きっと、今、私が声をかけたら、楓摩は隠してしまうから。
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