ある雪の降る日私は運命の恋をする
俺も、ソファに座っている朱鳥の横に腰をかけてホットミルクを飲む。

やっぱり、子供の頃からの好物だと言うこともあって落ち着く。

ふんわりとした牛乳の甘さと暖かさが心を癒してくれる。

朱鳥は、少し飲んでからコップをテーブルに置き、俺の肩にコテンと首を乗せてきた。

俺も、コップを置き、また朱鳥の頭を撫でる。

すると、朱鳥はまた、少しだけ涙を流した。

「……朱鳥、大丈夫?ホットミルク美味しかった?」

コクン

「そっか。よかった。……じゃあさ、1つ聞きたいことがあるんだけど…いい?」

そう言うと、朱鳥はすぐには頷かず、少し俺から離れて俺の目をジッと見つめた。

「…聞いちゃ、ダメ?」

そう言うと、小さく首を横に振る。

「聞いても、いい?」

そう言うと、また少し考えて、その後小さく頷いてくれた。

「ありがとう。」

さり気なく、朱鳥の手を握って俺はゆっくりと口を開く。

「……朱鳥、学校…楽しかった?」

そう言った途端、朱鳥の表情が変わるのがわかった。

「…………楽しかった…よ……」

とても小さくて震えた声。

これは、俺じゃなくても誰でも嘘だってすぐにわかる。

でも、俺はあえてそこを追求しない事にした。

「そっか。楽しかったんだ。よかった。…朱鳥がさ、だいぶ疲れてたみたいだから、何かあったのかと思って心配しちゃったよ。」

ニコッと笑いかけながら朱鳥の手をさっきよりも強く握る。

すると、朱鳥は、とても苦しそうな顔をした。

俺は黙って背中を摩る。

「……朱鳥、楽しかったなら、いいんだけど、もしね、もしも、苦しかったり辛かったりしたら俺に言ってね?独りで我慢しなくていいから。何かあったら相談して?」

そう言って、俯いている朱鳥の顔を覗き込んで微笑む。

すると、朱鳥は突然俺の事をギュッと強く抱きしめた。
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