ある雪の降る日私は運命の恋をする
「朱鳥、あのさ、1回俺に全部話してくれないかな?」

楓摩は、私の目を見てそう言った。

「………な…んで……」

本当は相談したいはずなのに、助けてもらいたいはずなのに、自分の口から出た言葉はそんなものだった。

「なんでって……朱鳥、悩んでるんじゃないの?」

「………………」

「もし、悩んでるんだったら、俺に相談して?俺、今日ならずっと朱鳥の傍に居てあげられるから。」

「……………ぃゃ…」

「え?」

「嫌っ!!」

そう言って、私は布団を頭まで被った。

本当は、ずっと相談したかった。

ずっと話を聞いて欲しかった……

なのに、自分の中の違う心が"相談したらダメ"って"相談したらカッコ悪い"って言う。

「朱鳥?」

心配そうな楓摩の声。

「……嫌…………いやなの…」

私は、震える声でそう言った。

「…………そっか。…じゃあ、俺、一旦……」

楓摩が病室から出ると言いかけた時、私は楓摩の袖をギュッと握った。

心の思いと体が全く別の動きをしている。

本当は、相談したいという心。

なのに、"嫌"と言ってしまう口。

でも、楓摩には行かないでほしいという体。

全てがバラバラの動きをしていて、どれが本当の自分なのかわからない。

頭が混乱する。

「…………朱鳥、どうした?」

楓摩が呆れたような声で言う。

咄嗟に袖から手を離して腕を布団の中に引っ込める。

「ねぇ、朱鳥。朱鳥はどうしたいの?俺に相談したい?したくない?それとも、俺が嫌いなの?嫌いだから相談出来ないの?」

「…違う…………」

「じゃあ、どうしたの?」

「………………」

「はぁ……。朱鳥、黙ってたらわからないよ?」

「………………んだもん…」

「ん?」

「わからない。自分でもわからないんだもん!!」

そう言って、私はまた涙を流した。

でも、次は楓摩じゃなくて布団に隠れた。

「朱鳥……」

楓摩が困ったように言う。

私は、また感情的になってしまって枕に顔を埋めたまま、泣き出した。
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