ある雪の降る日私は運命の恋をする
「朱鳥……ごめん。さっきは、聞きすぎた。もう、いっぱい追求したりしないからさ。…お願いだから、顔見せて?泣かないで?」

そう言われても、涙が溢れて止まらないし、顔も涙でぐしゃぐしゃだから、楓摩には見せたくない。

「朱鳥、お願い。俺、朱鳥の事が心配なんだ。布団の中で泣いてたら、また過呼吸になっちゃうよ?また、苦しくなっちゃうよ?だから、泣いててもいいから、一旦顔出そ?」

そう言われて、私は今度は無意識に楓摩の手をギュッと握っていた。

すると、楓摩は少しだけ握り返してくれた。

それから、楓摩は何も言わなくなり、ただ私の手を握っているだけだった。

すると、そのうち涙も引き、私は少しだけ布団から顔を覗かせた。

「…やっと顔見えた。」

そう言ってニコッと笑いかけてくれる楓摩。

「…ご……めんなさい…………」

私がそう言うと

「ううん。朱鳥は謝らなくてもいいんだよ。ごめんね。朱鳥も混乱してるのに、そこを追求しちゃって…」

楓摩は、そう言って私の頭を撫でる。

楓摩が笑ってくれるだけで、さっきまでの嫌な気持ちが全てフッと吹き飛んだ気がした。
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