ある雪の降る日私は運命の恋をする
そしてある日……事件は起きた。

その日も、前日、眠れぬまま仕事をしていて、それに夜勤も入っていたから、正直体が辛くて仕方なかった。

連日の徹夜。

それのせいか、最近は食欲も湧かず、食べたといっても、夜にカップラーメンを半分ほど食べるくらいだ。

陽向や、看護師さんには顔色が悪いと言われ、先輩の医師にも心配された。

それでも、なんとか患者さんの前では笑顔でいられるように頑張っていた。

だけど、どうもこの日はダメなようで、どうしても笑う事が出来なかった。

体が重くて怠い。

気分だけでなく、体調も最悪で咳まで出ていた。

なんとか、診察などの仕事はしたけど、患者さんにまで心配をかけてしまった。

夜勤もあるけど、体調が優れない事を言って、出来るだけソファでもいいから、休ませてもらおう。

そう、思っていた。

頑張って仕事を終え、気付くと夜の9:00。

これから、夜勤が始まる。

最初の1~2時間くらいは、急患もなく、ソファで休めたのだが、夜の11:00くらいになって、急に患者が増えた。

次々と救急車が来て、患者を運んでくる。

俺も、命に関わる仕事だから、こればかりは頑張ってやった。

やっと、患者が落ち着いたのはもう次の日の午前2:00だった。

これで、やっと休める。

体の力が抜け、医局にあるソファに倒れ込んだ。

そして、許可を貰ってからソファで寝っ転がって目をつぶった。

だけど、その時。

プルルルルルルッ♪

プルルルルルルッ♪

俺のPHSが鳴った。

こんな時に、誰だよ……

眠い目を擦りながら見ると、陽向からの着信だった。

「もしもし」

"もしもし、楓摩か?"

「うん……そーだけど、何の用?俺、眠いんだけど」

"ん。ごめんな。朱鳥ちゃんが泣いてるから呼ぼうとしたんだけど、今日楓摩大分辛そうだったし、他の人にお願いしようか?"

「いや。いい。朱鳥の為ならすぐ行く。」

そう言って電話を切ってから、俺は自分の両頬をパチンと叩いて気合を入れた。

あともう1頑張り。

頑張ろ。
< 340 / 505 >

この作品をシェア

pagetop