ある雪の降る日私は運命の恋をする
病室に入って、楓摩の隣に腰をかける。

「楓摩……どうした?」

そう、声をかけると、楓摩はゆっくりとこっちを向いた。

楓摩は、まだ涙を零していた。

「陽向…どうしよ…………俺、朱鳥に酷いことしちゃった……」

そう言って、楓摩はもっと多くの涙を流す。

「…………何があった?」

「…朱鳥がね…………朱鳥が…グスッ」

「うん」

ずっと泣きながら話し続ける楓摩。

俺は、ずっとそれに相槌を打ちながら話を聞いていた。

「朱鳥がね…死にたい……って言ったの…………グスッ…俺、それがどうしても…許せなくて……グスッ…………朱鳥に…怒っちゃった……」

「うん」

「朱鳥ね……ちゃんと謝ってくれたの…何回も、何回も。なのに、俺…どうしても許せなくて…………イライラ…しちゃって……グスッ…キツイ言葉かけちゃった……朱鳥が泣いてるのに…それも責めるようなこと言っちゃって……グスッ………俺、最低だ…」

「そっか」

「朱鳥ね…………グスッ…俺の事……嫌………………だって………俺、嫌われちゃった……どうしよう…」

「大丈夫。きっと、仲直り出来るから。」

「でも……」

俺は、そう言って辛そうに涙を流す楓摩の手を強く握った。

「……大丈夫。…楓摩も、悪気はなかったんだろ?お前は、正義感が強いから、そう言っちゃったんだろ?なら、大丈夫。朱鳥ちゃんも、きっとわかってくれるから。」

「…グスッ………本当?」

「うん。大丈夫。だから泣くな。楓摩も、疲れてたんだろ?毎日、お疲れ様。お前、辛そうだし、明日は仕事休みな?そして、今日はもう寝て、ゆっくり休む事。わかった?」

「うん…グスッ…ありがと…………」

そう言って、楓摩は涙を流したまんま、目を瞑った。

楓摩の顔は、ずっと苦しそうだった。
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