ある雪の降る日私は運命の恋をする
コンコンッ

「はーい」

「…楓摩、だけど…ちょっと……いい?」

「……うん…」

ガラッ

朱鳥の病室に入って、ゆっくり朱鳥に近付く。

そして、朱鳥の前に立って、俺は1度大きく深呼吸をした。

「朱鳥、ごめんなさい!!」

そう言って、俺は思いっ切り頭を下げた。

「お、俺……」

緊張からか、声が震えて、目に涙が滲む。

「……俺、ものすごく後悔した。…なんで、あんな事言っちゃったんだろう……なんで、朱鳥の事、泣かせてるんだろう……って。本当にごめんなさい!!…俺………朱鳥に……嫌われても…………しょうがないことした。……もし、俺の事が嫌いになったなら、そう言っていいから。…もう、俺に構わなくて、いいから……」

そう言い切った所で大粒の涙が零れた。

何粒も何粒も床に落ちて、小さな水溜りをつくる。

「………………」

朱鳥は無言だった。

俺は、ずっと頭を下げたまま、涙を零し続けた。
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