ある雪の降る日私は運命の恋をする
「朱鳥、持ってきたよー」

俺は、売店で買ってきたパックのりんごジュースを持って病室に入った。

朱鳥は、辛そうにイルカの人形をギューッと抱きしめていた。

「朱鳥、大丈夫?これ、飲める?」

そう言って、ストローを刺してから朱鳥にジュースを渡す。

すると、朱鳥は少しだけ体を起こしてジュースを飲んだ。

少しすると、朱鳥の表情が少しだけ綻んだ。

「美味しい?」

そう聞くと、朱鳥はコクンと頷いた。

それから

「…おいしい……」

と小さな声で言って、少しだけ微笑んだ。

久しぶりに朱鳥の笑顔を見た気がする。

それを見ただけで、俺は幸せな気持ちになれた。

どれだけ辛くても、今だけでも笑ってもらえたら、俺まで笑顔になれる。

朱鳥の笑顔から、元気をもらえる。

「よかった」

そう言って俺も久しぶりに心から笑えた。

朱鳥も、またそれを見て笑ってくれた。
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