ある雪の降る日私は運命の恋をする
「んん………………うぅ………ゃぁ…」

ギュッと朱鳥の手を握る。

時刻は午前3:00。

昼間は、笑ってくれた朱鳥だったけど、やっぱり体調の悪さから悪夢を見るようで、魘されている。

起こしても、また怖がらせちゃうかな……

そう思って、ずっと朱鳥の傍で黙って朱鳥の手を握っていた。

「大丈夫。大丈夫。」

そう、声をかけ続ける。

それでも、朱鳥は辛そうに眠っている。

「…ぅ……ふ…………ま………グスッ……」

「大丈夫だよ。俺はここにいる。」

本当は、今すぐにでも抱きしめてやりたかった。

辛そうな朱鳥を、黙って見てるだけはキツイな……

起こしてもいいんだけど、寝れる時に寝かせてあげたいし…

俺は、複雑な気持ちのまま、朱鳥の手を握り続けた。

汗でビッショリに濡れた朱鳥の小さな手。

その手からも、辛さが滲み出ているようだった。
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