ある雪の降る日私は運命の恋をする
「ふぅ……」
処置室に行ってから、俺達が一息付けたのは、そこから5時間後の事だった。
本当なら、30分ほどで終わると思っていたのだが、急に患者さんの容態が悪くなって、緊急手術になった。
もちろん、俺も第一助手として手伝った。
わりと大きい手術だったから、俺も陽向も疲れていた。
「ごめんなー、楓摩。付き合わせちゃって。疲れたろ?」
「大丈夫だよ。確かに疲れたけど、まあ、いい経験になったしね」
そう言って、医局のソファに腰をかけながらコーヒーを飲んでいた。
すると……
「清水先輩!!」
「わ、また呼び出しだ。楓摩は、大変だな(苦笑)」
「ハハッ、ほんと大変だよ(笑)ちょっと、俺、行ってくるね」
俺は、俺のことを呼んでいる瀬川くんの所へ小走りで向かった。
「先輩、すいません。さっきの手術で疲れてますよね?」
「ん?大丈夫だよ。それより、どうしたの?何かあった?」
「えっと、朱鳥ちゃんの事なんですけど…」
「うん。」
俺は、朱鳥の病室まで歩きながら瀬川くんの話を聞く事にした。
多分、熱があがってきちゃったんだろう。
「朱鳥ちゃん、熱、高くて、40.2度もあるんです。それで、解熱剤を入れた方がいいと思って……」
「うん。そうだね。それに、そこまで高いなら、普通の解熱剤より、筋肉注射の方がいいかな。まぁ、俺がやってもいいんだけど、いい機会だから、瀬川くんやってみる?俺はサポートするから。」
「えっ?いいんですか?」
「うん。朱鳥、かなり嫌がるかもしれないけど、熱下げないとヤバイから。」
「はい。」
俺たちは、1度注射と冷えピタの変え、それと汗を拭くためのタオルを取りに行ってから、病室へ向かった。
コンコンッ
ガラッ
「朱鳥ー、大丈夫?」
病室に入ると、朱鳥は真っ赤な顔で苦しそうに息をしていた。
「遅くなっちゃってごめんね。辛かったしょ。」
コクン
「今、だいぶ熱高いみたいだから、熱下げる注射しよっか。そしたら、少しは楽になるよ。いい?」
そう言うと、朱鳥はコクンと素直に頷いてくれた。
「うん。偉い。じゃあ、少しいつもより痛いけど我慢だよ。うつ伏せになれる?」
そう言った瞬間、朱鳥の目が変わった。
「…やっぱり……いい。」
「良くないよ。熱高いと朱鳥も辛いし、体もキツイでしょ?だから、我慢して?俺は、手、握っててあげるから。」
そう言うと、朱鳥は涙目になりながらも渋々、うつ伏せになってくれた。
「朱鳥ちゃん。今日は、俺が打つね。でも、楓摩先生は傍にいるから大丈夫だからね。」
コクン
俺は朱鳥を軽く抑えて、朱鳥の手を握る。
瀬川くんは、消毒をして、もうすぐ用意ができそうだ。
「じゃあ、朱鳥ちゃん、打つね。少し痛いかもしれないけど、頑張ってね。」
「朱鳥、動いたら危ないから、動かないでね。」
瀬川くんが朱鳥に注射の針を刺した途端、朱鳥は強く唇を噛んで、俺の手をギュッと握った。
「朱鳥、頑張れー」
俺は、朱鳥が動かないように固定しながら、朱鳥の頭を撫でる。
「朱鳥ちゃん、あと少しだけ我慢してね。もう1本だけ打たせてね。」
そう瀬川くんが言うと、朱鳥は"嫌"と首を横に振る。
「朱鳥、我慢して。すぐに終わるから。ね?」
そう言うと、朱鳥はついに目に貯めていた沢山の涙をポロポロと零しはじめた。
「よしよし。痛いね…。ごめんね。あと少しだからね。」
そう言って、また朱鳥の頭を撫でる。
朱鳥は、泣きながらだけど、しっかりと我慢してくれた。
「よし。終わり。ごめんね朱鳥ちゃん。痛かったしょ。でも、これで熱は下がると思うからね。」
そう言って、心配そうに朱鳥の顔を覗き込む瀬川くん。
すると、朱鳥は瀬川くんからプイッと顔をそらした。
「ありゃ、嫌われちゃった?でも、痛いことしたし、しょうがないか(苦笑)ごめんね。」
朱鳥は、俺にギューッと抱きついて離れようとしない。
「ごめん、瀬川くん。ありがとうね。俺、もうちょっとここに居るから、先、医局戻ってて。」
「はい。ありがとうございました。」
そう言って、ペコッと礼をしてから瀬川くんは病室を出た。
「朱鳥、大丈夫?一旦、ベッドに戻ろ?冷えピタ貼ってあげるから。」
コクン
朱鳥をベッドに寝かせて、布団を掛けてから朱鳥の額の汗を拭いて、冷えピタを貼ってあげる。
「これで、少しは楽になるよ。まだ、ちょっと辛いかもしれないけど、もうすぐ楽になれるからね。俺、ここに居るから、ゆっくり眠りな?」
そう言うと、朱鳥は俺の手をギュッと握ってからコクンと頷いた。
処置室に行ってから、俺達が一息付けたのは、そこから5時間後の事だった。
本当なら、30分ほどで終わると思っていたのだが、急に患者さんの容態が悪くなって、緊急手術になった。
もちろん、俺も第一助手として手伝った。
わりと大きい手術だったから、俺も陽向も疲れていた。
「ごめんなー、楓摩。付き合わせちゃって。疲れたろ?」
「大丈夫だよ。確かに疲れたけど、まあ、いい経験になったしね」
そう言って、医局のソファに腰をかけながらコーヒーを飲んでいた。
すると……
「清水先輩!!」
「わ、また呼び出しだ。楓摩は、大変だな(苦笑)」
「ハハッ、ほんと大変だよ(笑)ちょっと、俺、行ってくるね」
俺は、俺のことを呼んでいる瀬川くんの所へ小走りで向かった。
「先輩、すいません。さっきの手術で疲れてますよね?」
「ん?大丈夫だよ。それより、どうしたの?何かあった?」
「えっと、朱鳥ちゃんの事なんですけど…」
「うん。」
俺は、朱鳥の病室まで歩きながら瀬川くんの話を聞く事にした。
多分、熱があがってきちゃったんだろう。
「朱鳥ちゃん、熱、高くて、40.2度もあるんです。それで、解熱剤を入れた方がいいと思って……」
「うん。そうだね。それに、そこまで高いなら、普通の解熱剤より、筋肉注射の方がいいかな。まぁ、俺がやってもいいんだけど、いい機会だから、瀬川くんやってみる?俺はサポートするから。」
「えっ?いいんですか?」
「うん。朱鳥、かなり嫌がるかもしれないけど、熱下げないとヤバイから。」
「はい。」
俺たちは、1度注射と冷えピタの変え、それと汗を拭くためのタオルを取りに行ってから、病室へ向かった。
コンコンッ
ガラッ
「朱鳥ー、大丈夫?」
病室に入ると、朱鳥は真っ赤な顔で苦しそうに息をしていた。
「遅くなっちゃってごめんね。辛かったしょ。」
コクン
「今、だいぶ熱高いみたいだから、熱下げる注射しよっか。そしたら、少しは楽になるよ。いい?」
そう言うと、朱鳥はコクンと素直に頷いてくれた。
「うん。偉い。じゃあ、少しいつもより痛いけど我慢だよ。うつ伏せになれる?」
そう言った瞬間、朱鳥の目が変わった。
「…やっぱり……いい。」
「良くないよ。熱高いと朱鳥も辛いし、体もキツイでしょ?だから、我慢して?俺は、手、握っててあげるから。」
そう言うと、朱鳥は涙目になりながらも渋々、うつ伏せになってくれた。
「朱鳥ちゃん。今日は、俺が打つね。でも、楓摩先生は傍にいるから大丈夫だからね。」
コクン
俺は朱鳥を軽く抑えて、朱鳥の手を握る。
瀬川くんは、消毒をして、もうすぐ用意ができそうだ。
「じゃあ、朱鳥ちゃん、打つね。少し痛いかもしれないけど、頑張ってね。」
「朱鳥、動いたら危ないから、動かないでね。」
瀬川くんが朱鳥に注射の針を刺した途端、朱鳥は強く唇を噛んで、俺の手をギュッと握った。
「朱鳥、頑張れー」
俺は、朱鳥が動かないように固定しながら、朱鳥の頭を撫でる。
「朱鳥ちゃん、あと少しだけ我慢してね。もう1本だけ打たせてね。」
そう瀬川くんが言うと、朱鳥は"嫌"と首を横に振る。
「朱鳥、我慢して。すぐに終わるから。ね?」
そう言うと、朱鳥はついに目に貯めていた沢山の涙をポロポロと零しはじめた。
「よしよし。痛いね…。ごめんね。あと少しだからね。」
そう言って、また朱鳥の頭を撫でる。
朱鳥は、泣きながらだけど、しっかりと我慢してくれた。
「よし。終わり。ごめんね朱鳥ちゃん。痛かったしょ。でも、これで熱は下がると思うからね。」
そう言って、心配そうに朱鳥の顔を覗き込む瀬川くん。
すると、朱鳥は瀬川くんからプイッと顔をそらした。
「ありゃ、嫌われちゃった?でも、痛いことしたし、しょうがないか(苦笑)ごめんね。」
朱鳥は、俺にギューッと抱きついて離れようとしない。
「ごめん、瀬川くん。ありがとうね。俺、もうちょっとここに居るから、先、医局戻ってて。」
「はい。ありがとうございました。」
そう言って、ペコッと礼をしてから瀬川くんは病室を出た。
「朱鳥、大丈夫?一旦、ベッドに戻ろ?冷えピタ貼ってあげるから。」
コクン
朱鳥をベッドに寝かせて、布団を掛けてから朱鳥の額の汗を拭いて、冷えピタを貼ってあげる。
「これで、少しは楽になるよ。まだ、ちょっと辛いかもしれないけど、もうすぐ楽になれるからね。俺、ここに居るから、ゆっくり眠りな?」
そう言うと、朱鳥は俺の手をギュッと握ってからコクンと頷いた。