ある雪の降る日私は運命の恋をする
「じゃあ、朱鳥、局所麻酔打つね」

朱鳥をベッドに寝かせて、処置の用意をしてから、俺は処置を始めた。

「ちょっとチクッとするよ」

傷周りに、2本ほど麻酔を打つ。

朱鳥は、ギュッとベッドのシーツを掴み、涙を流しながら耐えてくれた。

「よし。麻酔終わり。これで、もう痛くないからね。あと少しだから動かないでね。」

そう言って、傷口を縫っていく。

小さな傷口だから、4~5針で済むから、そこまで時間もかからないだろう。

それでも、朱鳥は怖いのか目をギュッと瞑って手だけが、微かに震えていた。

「大丈夫だからね。痛くないよ」

そう、声をかけながら、慎重に、かつ、丁寧に縫っていく。

五分ほどして、縫合は終わった。

傷口にガーゼを貼って、取れないように頭全体に包帯を巻いた。

「朱鳥、終わったよ。もう、大丈夫だからね。」

そう声をかけると、朱鳥はゆっくり目を開けて、それから俺に抱きついてきた。

「よしよし。よく頑張ったね。いつも、辛い思いさせちゃってごめんね。」

朱鳥は、泣きながら俺の服に顔を埋めた。

それから、少しして、寝息が聞こえてきた。

朱鳥をベッドに寝かせて、布団をかける。

朱鳥の苦しそうな顔を見るのは、何度見ても慣れないな……
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