ある雪の降る日私は運命の恋をする
「朱鳥、おはよー」

楓摩の声で目が覚める。

目を開けると、満面の笑みの楓摩。

「おはよ、楓摩」

眠い目を擦って体を起こす。

「朱鳥、よく頑張ったね。治療、終わったから、これからまた、いつもの病室戻ろっか。」

…あ、そっか。

もう、今回の治療は終わったんだ。

いつの間にか、私の腕からは点滴は外されているし、荷物もまとめられている。

楓摩は、無菌室のカーテンを開けて、私の事を抱っこしてくれる。

それから、荷物も持って、私を無菌室から連れ出してくれた。

久しぶりの普通の病室に戻って、楓摩にベッドに下ろしてもらう。

「よし。朱鳥、一旦診察してから、ギューしよ?」

楓摩も子供みたいにキラキラした目で楽しそうにしている。

「うん。私も、ギューしたい!!」

楓摩のこんなに楽しそうな表情も久しぶりだ。

診察は、すぐに終わって、楓摩が私の事を抱き上げてくれる。

温かい熱が伝わってきて、とても安心する。

1週間を頑張ったご褒美だ。

私も笑って、楓摩も笑って、とても幸せな時間だった。
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