ある雪の降る日私は運命の恋をする

楓摩side4

辛そうに涙を流し、苦しそうに息をしている朱鳥。

熱は40度を超している。

解熱剤は入れたくないって言ってたけど……

きっとそれも時間の問題。

多分、もう後何分も経たないうちに、また熱が上がって、最終的には解熱剤が必要になる。

でも、今は嫌がってるし、冷えピタだけで様子を見よう。

そう思い、俺は冷えピタと保冷剤を取りに行くことにした。

「朱鳥、俺、冷えピタ取ってくるね。すぐ戻ってくるからちょっと待ってて」

そう言って、繋いでいた朱鳥の手を離し、俺は病室を出ようとした。

でも

俺が椅子から立ったところで、朱鳥に白衣の袖を引っ張られた。

「ん?どうした?」

俺がそう言うと、朱鳥は涙いっぱいの目で見つめて

「…………いかないで…」

と小さく言った。

「でも、俺冷えピタ取りに行かないと…」

そう言うと、朱鳥は、今度はとても悲しそうな顔をした。

「…やだ…………置いていかないで……寂しい…………」

と言って涙を流した。

「寂しいの?」

そう聞くと朱鳥はコクンと頷いた。

俺は、ナースコールで看護師さんに持ってきてもらえるようにお願いした。
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