ある雪の降る日私は運命の恋をする
一通り処置を終え、俺は朱鳥ちゃんをICUへ運んでいた。

ついさっき、出ていったばっかりの病院。

まさか、楓摩と朱鳥ちゃんが事故に巻き込まれるとは思ってもいなかった。

朱鳥ちゃんは、酷い怪我をしていて、少し縫う必要もあった。

でも、頭だけは無事だった。

首から上だけは無傷。

正直、最初は不思議だった。

だけど、少し考えるとすぐにわかった。

きっと、楓摩が守ったんだ……

朱鳥ちゃんが体に負ったあの怪我。

骨折もしていたし、そうとうな衝撃だったのだろう。

アレをもろに頭に受けていたら、朱鳥ちゃんは、死んでいたかもしれない。

でも、無事だったということは、逆に考えると朱鳥ちゃんを守った楓摩がもっと酷い怪我をしているかもしれない。

そんな事を考えていると、俺のPHSが鳴った。

「はい。佐伯です。」

"佐伯先生っ、瀬川です。今、人手が足りなくて、救急の先生が佐伯先生に手術の助手を頼みたいと…"

「わかった。じゃあ、俺は真っ直ぐ手術室に向かう。場所は?」

"場所は、第1手術室です。"

「了解。すぐ行く。」

"ありがとうございます"

瀬川くんとの電話を切り、俺は手術室へ走った。

落ち込んでいる暇はない。

今は患者さんを助けなきゃ。
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