ある雪の降る日私は運命の恋をする
「……楓摩に…会わせて」

私が陽向先生にそう言うと、陽向先生は困ったように笑った。

「ごめんね、朱鳥ちゃん、まだ起きたばっかりだし、体も動かないんじゃないかな?楓摩は大丈夫だから、今は自分の体を治すことを優先しよ?」

陽向先生の言っていることは、正しい。

だけど、私は、自分の事よりも何よりも、楓摩が心配だった。

私のために大怪我をした…なんて聞いたら、心配しない訳がないじゃん。

だから、私はワガママを言った。

「…どうしても、会いたい」

すると、陽向先生はまた困ったように笑って、今度は、私の頭を撫でてくれた。

「心配なのはわかるけどさ、朱鳥ちゃん、今から体動かしたら辛いよ?長い時間眠り続けてたし、体に力が入らないと思う。楓摩の傍に行けなくても、顔を見るだけ…って言うなら、別だけど。」

「それでもいい。顔を見るだけでもいいから!!」

私ぎそう言うと、陽向先生はまた頭を撫でてくれた。

「じゃあ、少し待ってて。」

そう言って、陽向先生は閉められたカーテンから外に出て行った。
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