ある雪の降る日私は運命の恋をする
朱鳥ちゃんの努力は凄かった。

痛いはずの体を一生懸命動かして、涙を流しながら、リハビリ時間じゃない時も自分でトレーニングしていた。

次の日、ICUから出れた時には、自分で歩きたい と言ったほどだ。

でも、まだ歩くには遠く、まずは体を動かす事から始めた。

足を曲げたり伸ばしたり。

そんな事の繰り返し。

普通の人なら、歩くまで一週間、それか一週間以上、そのくらいかかる。

だけど、朱鳥ちゃんは3日で歩き始めた。

毎日、暇さえあれば、病室の中で手すりを使いながら歩く練習をしていた。

何度も転んで、それでも立ち上がって必死に歩いていた。

なんで、そんなに必死になってトレーニングをするか。

それは、きっと楓摩に会いたいという一心から来ていたんだと思う。

俺は、リハビリを始める前に、"1人で歩いてICUまで行って帰ってこれるようになったら楓摩の傍に居ていいよ。"そう朱鳥ちゃんに言った。

俺は、いくら朱鳥ちゃんでも一週間はかかるだろうと思っていた。

だけど、それは違った。

朱鳥ちゃんは、必死に頑張って、3日で完璧に歩けるまでになり、4日目からは毎日楓摩の病室に通っていた。

通常、ICUはその患者の家族しか入れない。

だけど、朱鳥ちゃんは楓摩の家族も同然。

だから、俺は特別に付き添いを許可した。

きっと、その方が楓摩も朱鳥ちゃんも嬉しいだろうから。
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