ある雪の降る日私は運命の恋をする
「楓摩……よかったね…。やっと家に帰ってこれたよ……」

眠り続ける楓摩の手を握り、そう話しかける。

今日、楓摩は退院した。

陽向先生や、看護師も同行して、私と楓摩の家のリビングにベッドを置いて、そこに楓摩は寝かされて、周りには病院と同じように沢山の機械が置かれている。

栄養のためのチューブ、水分を取るための点滴、心臓の鼓動や、呼吸を表すモニター、そして酸素マスク。

色々な物が家に運ばれてきて、楓摩につながれる。

これで、楓摩は起きてくれるのかな……

まあ、目が覚めた時、病院よりは家の方が嬉しいよね。

…………でも…

陽向先生や看護師さんが帰った静まり返った家で、私は泣いた。

楓摩に抱きついて泣いた。

病院は、楓摩の事を見放したの?

楓摩はもう目を覚ましてくれないの?

楓摩は…………死んじゃうの?

……そんな、嫌な想像ばかりが頭に浮かぶ。

嫌だよ……嫌だ…………

「楓摩、起きてっ!?起きてよ!!ねぇ!!楓摩!!」

私はそれからどのくらい泣いたのだろう

気付いたら外はもう真っ暗になっていた。
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