ある雪の降る日私は運命の恋をする
「……陽向、朱鳥は?」

何気なく聞いてくる楓摩。

「朱鳥ちゃんなら、熱高いから寝かせてるよ。」

「えっ、熱?」

「おう、疲労から来るものだとは思うんだけど、ずっと40度くらいの熱が下がらないんだよ。」

そう言うと、楓摩はすぐに心配そうな顔になった。

「なあ、陽向、俺を朱鳥の所連れて行ってくれないかな…」

そう言うと思った。

俺は、一応の為に用意していた車椅子を取りに行った。

それから、楓摩を車椅子に乗せてあげて、寝室まで運んだ。

何ヶ月も寝ていたから、きっと体にうまく力が入らないのだろう。

車椅子に乗っているだけでも、楓摩は少しフラフラしていた。

「朱鳥……」

寝室に着いて、朱鳥の寝ているベッドの横に車椅子を停めてあげると、楓摩は悲しそうに朱鳥に手を伸ばした。

朱鳥ちゃんの頬を撫でて、楓摩は涙を流した。

「ごめんな…心配かけて……」

俺はそっと部屋を出ていった。
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