ある雪の降る日私は運命の恋をする
参考書を買い終わり、家に帰る途中のこと。

俺は家の近くの大きな交差点の横断歩道で信号待ちをしていた。

すると、とても久しぶりに聞く、愛らしい声が聞こえてきた。

「あっ!にーたんだ!ねぇ、パパ、にーたんだよ!にーたん!」

声の主は幼い朱鳥。

横断歩道の向こうから俺を見つけて、大きく手を振っている。

まだ、何もわからない朱鳥は、俺に会えたことを嬉しそうにしていたが、父さんは俺が、離婚した妻の息子ということもあって、とても気まずそうだった。

信号が変わると朱鳥は父さんの手を振り払って、満面の笑みで俺の方へ走ってきた。

だけど……













キキーーーッ!!

大きな音がして車が朱鳥の方へ向かって来る。

「朱鳥っ!!!!!!!!」

俺は無我夢中で走った。

「にーたん!」

そう笑って喜ぶ朱鳥の顔を見た瞬間体全身に大きな衝撃が走った。

俺は朱鳥のことを抱きしめたまま、数メートル先まで飛ばされたのだった。
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