ある雪の降る日私は運命の恋をする
そう言った後、数十秒の沈黙が流れた。
この沈黙が怖い。
俺は指輪を差し出して、頭を下げたまま、ギュッと目を瞑り耐えた。
たった、数十秒の時が何分にも、何時間にも感じられる。
この雰囲気がたまらなくなって、俺は少しだけ顔を上げて、朱鳥を見た。
朱鳥は、口元を抑えて嬉しそうに涙を流していた。
「もちろん。こちらこそ、よろしくお願いします。」
その瞬間周りで沢山の拍手が起こった。
顔を上げると、周りで食事をしていた人やウエイトレスたちが、俺たちに拍手を送ってくれていた。
「ありがとう。」
そう言って俺も、涙を流した。
もう、辛い涙じゃない。
嬉しくて、幸せで温かい涙が俺の頬を伝った。