ある雪の降る日私は運命の恋をする
急いで処置を終わらせ、家に帰る。

もう、家を出たから2時間も経っていた。

朱鳥、寝ちゃったかな……

せっかく、朱鳥と一緒に居られる時間だったのに…

まぁ、仕事柄夜に呼び出される事なんてしょっちゅうだしね……

「ただいまー」

家に着いて、ドアを開けるも返事はない。

やっぱり、寝ちゃったかな……

そう思い、荷物を置いてからそっと寝室を覗く。

布団の所が少し膨らんでいて朱鳥がいる事がわかる。

近くに行ってみると、朱鳥の咳き込む声が聞こえた。

「朱鳥、ただいま。遅くなっちゃってごめんね?ちょっとだけ、お布団からお顔出せるかな?」

そう言うと、少しモゾモゾと動いてから、ひょこっと顔を出した。

「……お…、おかえり、楓摩。」

「朱鳥、ただいま。さっそくだけど、朱鳥苦しくない?さっき、咳き込んでなかった?」

「……だ、大丈夫だよ…コホッ……ゲホッゴホッゴホッ……」

どこが大丈夫なんだよ。

顔も赤いし。

「朱鳥、喘息出ちゃってるね。1回起きて、吸入しよっか。」

やっぱり、辛かったのか素直にコクンと頷いた。

俺は、医療用バックから吸入器を取ってきて、朱鳥に渡す。

「朱鳥、ゆっくり吸ってごらん。スーハースーハー」

「スー…ゴホッ……スー」

最初は、少しむせてしまったけど、だいぶ落ち着いたようだ。

そっと、朱鳥を俺の方に寄せ背中をさする。

「ごめんね、遅くなっちゃったね。」

「ううん、大丈夫。」

さっきまで、寝ていたのか少し眠そうな朱鳥。

背中をさすり続けていると、次第にウトウトしだして、そのまま朱鳥は眠ってしまった。

そっと、抱き上げて寝室まで連れていく。

前から朱鳥は体重が軽い方だとは思っていたけど、最近さらに軽くなったような気がする。

布団をかけて、朱鳥のサラサラの髪を撫でる。

「おやすみ、朱鳥。」
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