ヘタレ王子様の裏の顔
「''僕''のミオちゃんの面倒を見てくれてありがとう!!」
わざと''僕''を強調して見れば、やはり眉間に皺を寄せる犬井。
やっぱ、こいつ…
「いえ…僕は何もしてませんよ」
「ふふ、犬井くんって優しいんだね」
首をコテッ、と傾け上目遣いで見る。大概の男はこれで堕ちたけど…
「……は、はぁ」
内心チッ、と舌打ちをして次の作戦を考える。
もし、ミオがこの男を好きになってしまったら。
俺を、見てはくれなくなったら。
考えるだけでも、身の毛がよだつ。