ヘタレ王子様の裏の顔
「ねぇ、犬井くん…」
はい、と返事をする前に、俺はヤツの体に抱きつく。
「あ、あの…黒木先輩?」
若干、狼狽えてはいるが、まだ俺に堕ちた様子は見れない。
なら…
「僕ね…そういう優しい犬井くんに、一目惚れしちゃった…」
「……は」
ピシッと固まる犬井。
抱きついているから顔は見えないけど、可愛いこの俺がこんな事を言って、堕ちない奴はいない。
はっ、これでこの男も堕ちたな…あとはミオと…
「へぇ、先輩…こうやって、今までもミオ先輩に近付く男を堕としてきたんですか?」
耳にそう、囁かれた時。
いつの間にか、俺の身体はベッドに沈んでいた。