ヘタレ王子様の裏の顔
「ふっ…」
急に笑い出した俺を、不審な目で見る犬井。
まぁ実際、何も面白いことはないのに笑い出したら怖いよな。俺だったら引くわ。
じゃなくて。
「…何が面白いんですか」
敵は俺より二つ下の、犬っころ。
そんな奴に、俺が負けるとでも?
「残念だけど…ミオは俺がもらう」
と、挑発するように目を細めて笑う。
俺には分からなかったけど、この時俺は、相当怖い顔をしていたらしい。
ただ、犬井が唾を飲み込む音が聞こえただけだった。