ヘタレ王子様の裏の顔
腕時計を見て、後10分で遅刻だということに気づく。
「やっば!!
春くん、走るからしっかり握っててよ!!」
私より、ふた回り大きい手をギュッと握る。
すると何故かビクンっと反応した春くん。
「あ、あの…ミオ、ちゃん…」
「いっくよ〜」
満天の青空、キラキラと輝く太陽が笑っていた。
何気ない日常。変わらない毎日。
「……。」
私はこの時、春くんがどういう気持ちだったかなんて、知りもしなかった。