ヘタレ王子様の裏の顔
そして、俺の腕を引っ張って起き上がらせると、ふわりと良い香りに包まれる。
…ああ、ほんっと。好きだ。
ミオは、そのまま犬井をキッと睨みつけると、冷めた声で話す。
「まさか、犬井くんまでそんな人だとは思わなかったよ…嫌がる春くんを襲うなんて」
「ぇえ!?い、いや、ミオ先輩…それはごか…」
「黙らっしゃい!!もう、近隣一切近付かないで…春くん行こ!!」
ポカン、とほおけている犬井と目が合うと、俺はニヤリと嘲笑う。
ーーバーカ、と口パクで言ったら、顔を歪めた。
ざまあみろ。
ミオは…俺だけ見てればいい。