ヘタレ王子様の裏の顔
「ギリギリセーフ!!」
遅刻のカウントダウンまで、残りわずか2秒。
閉まり出していた門に滑りこみ、何とか遅刻は免れた。
はぁはぁ、と息が切れる中、またもや袖の端をツン、と引っ張られた。
「ごめんねっ…ミオちゃんっ」
うるうるとした目。眉は情けなく垂れ下がっている。
…はぁ、ほんっと。私って、こういう春くんに弱いんだよな。
少し背伸びして、春くんの寝癖のついた髪をゴシゴシと直す。
昔から春くんは、私に怒られると、必ず謝って来た。
少しは男らしく、反抗したらいいのに。
全く、男のプライドがないのかな。
ついでに、後頭部近くの寝癖を直そうと思って、顔を近づけた時だった。
「…っつ」
…?何だろ?春くんの赤くなった顔。
目は見開き、口はワナワナと震えていた。