神恋〜恋に落ちた神と巫女〜
第二幕 : 悲劇
「裏の世界って、私たち表にはどう帰れば良いの?」
「事を終わらせればいい」
そう言うと水神様は鳥居に向かって手をかざした。
瞬間、物凄い速さで何かが鳥居に貼りついた。
「お札‥?」
「ここは危険だ。本殿に入るぞ」
「けどあそこは!!」
「この社の主は俺だ」
そうだった、この人水神様だった。
巫女である私ですら本殿に入ることはかたく禁じられていたのに。
本殿に入ると水神様は先程と同じように手をかざし、部屋一面に札を貼り付けた。
「水神様は怖くないの?死んじゃうかも知れないんだよ?何が襲ってくるか分からないんだよ?」
「確かにお前の言う通り怖いな。ただ、俺は自分の死よりお前の死の方がよっぽど怖い。
月夜が死んでしまうのが1番怖いんだ」
「な、何言って‥‥」
さっきから意地悪言ったり優しいこと言ったりよく分かんないんだけどこの神様。
「この世界を作り出した者は桔梗。なぜ死してこの世界を作り出したか何が目的なのかは分からないが、桔梗を消せれば俺たちは表に戻れる」
(桔梗って、右京って人と恋仲だった人)
ただの作られた昔話だと思ったのに、本当のお話だったんだ。
なら、桔梗がこの世界を作り出した理由は罪もない自分が殺された恨みから??